ドラマ『刑事コロンボ 死の方程式』幼稚で陽気、狡猾で冷酷、でも憎めない犯人。

●海外ドラマ,刑事コロンボ 死の方程式

刑事コロンボ『死の方程式』レビュー

こんにちは!lenoreです。

今回は、ずる賢くて立ち回りが早くて言葉がうまいんだけど、

陽気で明るくてなぜか完全には憎めない犯人が登場する

刑事コロンボ・第8作『死の方程式』について書こうと思います。

 

ロジャー・スタンフォード役の声優 野沢那智さんの演技が、

本当にロジャーがその場で話しているかのような人間味のある演技でとても印象に残りました。



息子として感じる気持ちは分からなくはない
【この段落以後、内容について言及があります】

今回のお話の犯人ロジャー・スタンフォードは、スタンフォード・ケミカル社の重役です。

この会社は、ロジャーの父が汗水たらして築き上げたものでしたが、

父亡き後は、父の妹ドリスの夫(ロジャーから見て叔父さん)であるバックナーが社長となっていました。

 

そんなバックナー社長、スタンフォード社を身売りしようと考えていました。

 

バックナー社長からすると、ここで気になるのがロジャーの存在

ロジャーは、化学の知識に非常に長けていて優秀な人材ではあるものの、

性格が陽気過ぎるほど陽気で、大企業の重役としてはだいぶ枠からはみ出したタイプな上に、創業者の息子。

 

そんな目の上のたんこぶな存在のロジャーに対し、バックナー社長は、

“研究のため"という名目でヨーロッパに行かせようとします(誓約書まで用意)。

 

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「身売りには反対してくるだろう」とか「新しい会社に身売り出来たとしてもタイプが合わなさすぎる」とか、

ロジャーについてバックナー社長的にもいろいろ考えたんだろうなと思うんですが…

この辺の経緯が紋切り型というか…そういう風にするって決めたんで!的な有無を言わせない雰囲気だったので、

ちょっとロジャーの気持ちが分からなくもないかもと感じてしまいました🤔

 

身売りしようとしている時点で、バックナー社長の経営ではそんなに上手くいっていないってことだと思うし、

創業者の息子であるロジャーからすると残念に思うところもきっとあるだろうな🤔🤔

 

ま、でもその紋切り型の呼び出しの前に爆弾を作っていたので、

それまでの確執がちりつもで…ってことなんだろうな🤔🤔🤔



二面性のある"方法"

刑事コロンボに登場する犯人たちの"方法"は、綿密なものから突発的なものまでいろいろありますが、

ロジャーの計画は『細工した葉巻の箱もろとも、バックナー社長が乗っていた車をこっぱみじんに爆破』という

相当綿密に計画されているんだけど→結果がだいぶはっちゃけている、あまり他の話では見ないタイプな気がします。

 

この手法が、ロジャーの幼稚で陽気/狡猾で冷酷な二面性のある性格をよく表しているなとも思いました。

(かなり親密に付き合っていた社長秘書のヴィショップが解雇された時の「はいサヨナラ~」と言わんばかりのロジャーの態度、結構冷酷でしたよね…)

 

この綿密な計画とか、細工の正確性とか、化学の知識をもって完遂させてるところとか、

やっぱその能力がちょっともったいないなー💦良いところに使えばよかったのになー💦

性格がはっちゃけてるから異端に見られるんだろうけど、

彼が持っている能力をもっと延ばせる人がそばに居たらなー💦…と感じずにはいられませんでした。



ラストのロープウェーシーンの緊迫感

ロジャーを心理的に追い詰める、ラストのロープウェーシーン。

現場をまだ捜査中だったの時の描写で出てきますが、コロンボはかなりの高所恐怖症なんです。

 

なのに、このラストシーンではそんな素振りを全く見せず、

「1つだけなかった証拠品の葉巻の箱は無事に出てきました!ということは車の方が原因で爆発したんですね!だからこの葉巻の箱は大丈夫ですね!開けてみますね!」という感じで

ロジャーにかまをかけようと、葉巻の箱をバンバン叩く😂…もう笑わずにはいられませんでした笑。

 

ロジャーこそ、葉巻の箱が爆発するように仕掛けた張本人なので、

そんな風に乱雑に箱を扱われたら気が気じゃないですよね。そりゃ自白に近い行動になると思います。

 

あと私の想像では、一緒にロープウェーに乗ったローガン元副社長は、

コロンボに協力して一芝居うった感じだと思うんですが、彼は一体どんな気持ちだったんだろうな…🤔

全体を通して見ると、ローガン元副社長は身売りに反対の立場っぽいので、ロジャーと近かったはずなのにな…🤔



まとめ

コロンボに追い詰められ、自白に近い行動をとったロジャーの自虐的な笑い声

 

そこまでのシーンだと、ロジャーが笑ったり微笑んだりする時って、

「自分の計画通りにいっている」「バレやしない」という自信からくるものが多かったと思いますが、

ラストのロープウェーでの高笑いには、悲しさが混ざっているような感じがしました。

 

ロジャーは、社風とか時代には合いにくい性格・個性をもった人だけど、

その知識や能力を上手く導ける人が居たら、

仕事もできてマインドもポジティブな良い社長になれたんじゃないのかな…と心から思います。

 

と同時に、ここまでロジャーに思いを馳せてしまうほど魅力的に演じられた野沢那智さんの演技、本当に素晴らしかったです!!

作品詳細

1967年に単発作品として『殺人処方箋』が放送され、その後パイロット版の『死者の身代金』を経て、第3作『構想の死角』からシリーズものとして始まった一話完結のミステリー。倒叙形式で進む。

原題:『Short Fuse』

監督…エドワード・M・エイブラムス
脚本…ジャクソン・ギリス

●コロンボ(ピーター・フォーク)…刑事
●ロジャー・スタンフォード(ロディ・マクドウォール)…スタンフォード・ケミカル社の重役
●バックナー社長(ジェームズ・グレゴリー)…スタンフォード・ケミカル社の社長
…他。

(参考:NHK『刑事コロンボ』サイト , 映画.com

 

読んでいただきありがとうございました🎥